風営法における『管理者』とは?資格・役割・選任時の注意点を解説

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はじめに

風営法の許可を取得して営業を行う場合、「管理者」の設置が義務付けられています。
特にキャバクラやホストクラブ、スナックなどの接待飲食店では、管理者を選任しなければ営業することはできません。

本記事では、風営法における管理者の意味、資格要件、役割、選任方法、講習内容、注意点をわかりやすく解説します。
管理者制度を正しく理解して、安心・安全な営業を行いましょう。

風営法における「管理者」とは?設置が義務付けられる理由

風営法における「管理者」とは、店舗運営における法令遵守(コンプライアンス)と安全管理を担う責任者のことです。

風俗営業(キャバクラ、ホストクラブ、スナック、コンカフェなど)を営む場合、営業所ごとに必ず1名の管理者を選任することが法律で義務付けられています。

管理者設置の基本ルール

  • 営業所ごとに1名を選任(複数店舗で兼任は不可)
  • 基本的にはその店舗の店長が務めるケースが多い
  • 店長ではなく、経営者自身が兼任することも可能
  • 営業許可を受けた店舗単位で選任が必要

例えば、A店とB店を経営している場合、A店の管理者とB店の管理者は別々に任命する必要があります。
同じ人物が両方の店舗の管理者を兼務することは認められていません。

管理者を設置する目的

管理者制度の最大の目的は、店舗運営の適正化風営法違反の予防です。
風俗営業は、営業時間・接待行為・構造設備など、細かい規制が法律で定められています。
これらを日常的にチェックし、従業員やお客様が法令違反に巻き込まれないようにするのが管理者の役割です。

もし管理者を置かないとどうなる?

管理者を選任せずに営業を行った場合、風営法違反となり、最悪の場合は営業許可の取消しにつながります。
特に新規開業時や管理者が退職した場合は、速やかに新しい管理者を選任・届出しなければなりません。

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管理者になるための資格・条件

風営法の「管理者」になるためには、単に店舗の責任者であるだけではなく、法律で定められた条件を満たしている必要があります。
大きく分けると、人的要件管理者講習の受講義務があります。

人的要件(欠格事由)

管理者として選任できるのは、風営法に定められた欠格事由に該当しない人物に限られます。
欠格事由とは、「この条件に該当する人は管理者になれない」という法律上の制限のことです。

代表的なものは以下の通りです。

  • 18歳未満の者(未成年は不可)
  • 破産手続開始決定を受けて復権していない者
  • 禁固刑以上の刑に処せられ、刑の執行から5年を経過していない者
  • 暴力団員、または過去に暴力団員であった期間から5年を経過していない者
これらに該当する場合、経営者や店舗責任者であっても、管理者としての選任はできません。

また、欠格事由は形式的な条件だけでなく、警察の審査によって過去の経歴や交友関係も確認されます。
例えば、表向きは暴力団を抜けていると申告しても、実質的な関係が続いていると判断されれば、選任が認められないケースがあります。

管理者講習の受講

管理者に選任されたら、必ず管理者講習を受講する義務があります。
この講習は、営業所の所在地を管轄する警察署から案内され、通常は選任後に届くハガキで日程や会場が指定されます。

  • 講習時間:おおむね5〜7時間程度(ほぼ1日がかり)
  • 内容例
    • 風営法や関連条例の基礎知識
    • 営業における禁止事項と違反事例
    • 従業員管理・お客様対応に関する注意点
    • 店舗の安全管理(火災・トラブル対応)   など

講習は基本的に平日開催で、日程変更が難しい場合が多いため、早めのスケジュール調整が必要です。
もし受講を怠ると、行政指導や営業停止などの処分の対象になる可能性があります。

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管理者選任の具体的な手順・届出方法

風営法営業において、管理者の選任は法律で義務付けられており、選任しただけでは不十分で、警察署への届出が必要です。
ここでは、具体的な手順と注意点を解説します。

① 管理者候補者の確認

まず、管理者に選任できる人物かどうかを確認します。
管理者になるための資格・条件については、一つ前のセクションで解説していますのでそちらをご確認ください。

② 管理者の選任決定

候補者を決定したら、書面で選任の意思を確認します。
経営者や既存管理者の承認を受けて、正式に管理者として任命します。

※選任は営業所単位で行う必要があります。もし 複数店舗を経営する場合、それぞれの店舗に別々の管理者を選任します。

③ 届出書類の準備

管理者選任後は、営業所を管轄する警察署へ届出を行います。必要な書類は通常以下の通りです。

  • 管理者選任届出書(警察署で入手可能)
  • 管理者の身分証明書のコピー
  • 管理者の履歴書や経歴書(必要に応じて)

※警察署によって書式や提出物が異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。

④ 届出の提出

届出は選任後速やかに行うことが原則です。
提出方法は以下の通りです。

  • 直接提出:警察署窓口にて書類を提出
  • 郵送提出:事前に警察署へ確認して郵送可能か確認

届出を遅延すると、営業停止や許可取消のリスクが生じるため、必ず期限内に行いましょう。

⑤ 講習案内の受け取りと受講

届出完了後、警察署から管理者講習の案内ハガキが届きます。
この管理者講習は義務であり、受講しなければ行政処分の対象となります。

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管理者の役割と責任

管理者は単なる名義上のポジションではなく、「風営法に基づく営業所の“法令遵守責任者”」として、日々の運営に深く関わります。
管理者の資質や業務遂行の質は、そのまま店舗の信頼性や法的リスクに直結します。

ここでは、具体的な役割と責任を詳しく見ていきます。

① 法令遵守の管理

管理者の最重要業務は、風営法や関連法規の遵守状況を常に監督することです。

  • 接待行為の有無の確認:許可業種で認められていない接待行為が行われていないかをチェック。
  • 営業時間の監視:営業可能時間を超えて営業していないか確認。
  • 従業員への法令教育:新規スタッフへの入店前研修や、既存スタッフへの定期的なルール周知を行い、違反を未然に防ぐ。

※法令違反は、たとえ管理者が直接行っていなくても、店舗全体の責任として処分を受ける可能性があります。

② 書類の管理

風営法営業では、特定の書類を営業所に備え付け、必要に応じて提示できる状態にしておくことが義務です。

  • 営業日誌:日々の営業状況や特記事項を記録。警察から求められた際に提示できるように保管しておく。
  • 従業員名簿:氏名、生年月日、住所などを正確に記載し、最新情報に更新。
  • 許可証の掲示・保管:営業所内の見やすい場所に掲示し、原本を適切に管理。

③ トラブル対応

万が一トラブルが発生した場合、管理者は現場の最高責任者として迅速かつ適切に対応します。

  • 警察対応:事件・事故や通報があった場合に、経緯を正確に説明する。
  • 顧客とのトラブル処理:料金トラブル、クレーム対応、泥酔者や暴力行為への対応。
  • スタッフ間のトラブル解決:従業員同士の揉め事やハラスメントの防止・対応。

④ 安全管理

店舗内の防火・防犯体制を整え、日常的に点検します。

  • 防火対策:消火器・非常口の位置や動作確認、避難経路の確保。
  • 防犯対策:防犯カメラ、施錠、金銭管理のルール化。
  • 事故防止:段差や床の滑りやすさ、設備不良のチェック。

管理者の職務怠慢や不在が続くと、営業停止命令や許可取消といった重大な行政処分の対象になる可能性があります。

また、悪質な場合は刑事罰や営業者への損害賠償責任に発展することもあります。

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管理者講習の内容と流れ

風営法許可営業における管理者は、選任後に必ず管理者講習を受講する必要があります。
講習は法令遵守や安全管理の基礎を学ぶ重要な機会であり、店舗運営のリスクを最小化するために欠かせません。

管理者研修の日程や開催場所等は、各県警のホームページから確認ができます。
この研修はおおむね3年に一度、受講する必要があります。

  • 案内方法
    管理者に選任されると、警察署から講習案内のハガキが届きます。
    案内には受講日時や会場、持ち物などの詳細が記載されていますので、必ず確認しましょう。
  • 受講場所
    講習は、各都道府県の警察が指定する会場で実施されます。
    地域によっては警察署内や公的施設が会場となる場合があります。
  • 持ち物
    受講には次の持ち物が必要です。
    ・講習案内ハガキ
    ・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード等)
    ・筆記用具
  • 講習内容
    管理者講習では、風営法の理解と安全な店舗運営のために必要な知識を体系的に学びます。
    主な内容は以下の通りです。
    • 風営法の概要…法律の基本的な考え方や店舗営業における義務を理解します。
    • 違反事例とその対応策…過去の違反ケースを学び、実務での対応方法を身につけます。
    • 従業員指導方法… 接客ルールや営業時間管理など、従業員教育のポイントを学びます。
    • 防火・防犯対策…店舗の安全管理、災害対策、防犯体制の整備方法を学習します。

受講後について

講習修了後には修了証が交付されます。
修了証は店舗で必ず保管し、警察の立入検査時に提示できるように準備をしておきましょう。
修了証の提示義務は、法令遵守の証明として非常に重要です。

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管理者不在や未選任のリスク

風営法では、店舗には必ず管理者の選任が求められますが、もし管理者が不在、または未選任の場合、次のような重大なリスクが起こってしまう可能性があります。

  • 営業停止命令
    行政から一時的に営業を止められ、売上に大きな影響が出ます。
  • 許可取消処分
    風営法の許可が取り消され、再申請や信用回復に時間と費用がかかります。
  • 罰金刑(数十万円規模)
    無断で営業を続けた場合、さらに重い処分や刑事責任の可能性があります。

さらに、管理者が不在だと従業員教育や安全管理が徹底されず、風営法違反につながりやすくなる点も大きなリスクのひとつです。
管理者の選任は、法令遵守と安全な店舗運営の基本であることをしっかりと理解しておきましょう。

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管理者を交代(変更)したい場合は?

管理者を交代する場合は、速やかに公安委員会への届出が必要です。
手続きの遅延は、営業停止や許可取消などのリスクにつながるため、注意しましょう。

① 変更届出の期限

管理者を変更した場合、変更日から10日以内「管理者変更届出書」を提出する必要があります。
届出書には、前任者・後任者の氏名や住所、選任日などを正確に記入します。

② 提出物

変更届出の際には、以下の書類を添付します。

  • 「管理者変更届出書」
  • 前任管理者の「風俗営業管理者証」
  • 必要に応じて後任者の身分証明書や経歴書

提出書類は管轄の公安委員会によって細かい要件が異なる場合がありますので、事前に確認することが大切です。

③ 急な欠員が発生した場合

管理者が事故や病気、死亡などの理由で急に不在となった場合は、欠員発生日から14日以内に後任の管理者を選任すれば足ります。
この場合も、後任者が欠格事由に該当しないかを確認することが必要です。

④ 注意点

管理者不在期間が長引くと、法令違反として行政処分の対象になる可能性があります。
後任者の選任後は、必ず管理者講習を受講させ、修了証を店舗で保管しておきましょう。

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まとめ

風営法許可営業において、管理者は必ず設置しなければならない責任者です。
管理者は単なる形式的な役職ではなく、法令遵守と店舗運営の両面を支える重要な存在です。

管理者を選任する際は、欠格事由に該当しない人物を選ぶことが必須であり、さらに風営法に基づく管理者講習を受講する必要があります。
選任や変更があった場合は、速やかに警察署へ届出を行うことも重要です。
もし届出を怠ると、営業停止や許可取消などのリスクが生じます。

また、許可申請や管理者選任に不安がある場合は、風営法に詳しい行政書士に相談することで、書類準備や届出手続きをスムーズに進めることができます。

専門性のある行政書士のサポートを受けることで、法令遵守を確実にし、安全で安定した店舗運営を実現できます。

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